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2016.5.16
Japan Topics
演出家・蜷川幸雄さん死去
 
 “世界のニナガワ”と称され、国際的にも活躍したスター演出家の蜷川幸雄さんが、5月12日午後1時25分、肺炎による多臓器不全のため東京都内の病院で死去した。享年80歳。体調を崩しながらも酸素吸入器に車椅子という出で立ちで稽古に現れ、精力的に舞台演出に取り組んでいたが、昨年12月半ばに軽い肺炎のため入院。2月に予定していた自らの半生を題材にした新作『蜷の綿 Nina's Cotton』(作:藤田貴大)を中止するなど、現場復帰はかなわなかった。
 アングラ演劇から商業演劇に挑み、うち捨てられた民衆の過剰なエネルギーを投影したスペクタクルな群衆演出、聖俗すべてを飲み込んだような猥雑な美術、時代のメタファーである鏡や水舞台による空間演出などにより、演劇によって社会を映し出し、民衆とともに闘う姿勢を貫いた。生涯に演出した戯曲は約120本。若い俳優やスタッフ、劇作家との仕事に力を入れ、多くの演劇人を世に出した。また、彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督として、55歳以上の無名の高齢者とともに個人史をベースにした新しい演劇の形態を模索するさいたまゴールド・シアターに取り組み、社会現象になった。

蜷川幸雄プロフィール
 1955年に劇団青俳に入団。俳優活動を経て、67年に蟹江敬三、石橋蓮司らと劇団現代人劇場を結成し、翌年発表した清水邦夫作品『真情あふるる軽薄さ』で演出家デビュー。『想い出の日本一萬年』『明日そこに花を挿そうよ』『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』など、時代をアジテートするような若者たちの反逆精神を反映した作品を世に問う。72年に再び蟹江、石橋に清水を加えて演劇集団櫻舎を結成し、『ぼくらが非情の大河をくだる時』で旗揚げ。60年代〜70年代のアングラ演劇をリードする旗手として活躍した。
 74年に日生劇場で上演した『ロミオとジュリエット』で商業演劇の演出家としての活動をスタート。以来、うち捨てられた民衆のエネルギーを象徴したダイナミックな群衆演出や聖俗すべてを飲み込んだような猥雑な美術、シェイクスピア戯曲などのローカライズ、日本の劇作家と組んだ創作劇により長年にわたって活躍。83年、平幹二朗がメディアを演じ、辻村ジュサブロー(現・辻村寿三郎)がアートディレクターを務めた『王女メディア』により初のギリシャ公演を敢行。以来、海外で数多くの公演を行う。特にイギリスとの縁が深く、85年に初めて『NINAGAWAマクベス』を上演してから毎年のようにイギリス公演を行い、2002年には名誉大英勲章第三位(CBE)を受章。
 また、1984年から2008年まで、廃工場を再利用した空間「ベニサン・ピット」を拠点に、若い俳優・スタッフとともに小劇場演劇の試みを行うGEKI-SHA NINAGAWA STUDIO(2004年にニナガワ・スタジオに改称)で実験的な作品づくりに取り組み、多くの人材を育てた。1999年にBunkamuraシアターコクーン、2006年に彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督に就任。彩の国さいたま芸術劇場ではシェイクスピア全37戯曲に取り組み、31作を上演。また、55歳以上の無名の高齢者とともに“個人史をベースにした新しい演劇の形態を模索する”さいたまゴールド・シアターを旗揚げ。2009年には若い俳優たちに自らの演劇哲学を伝える公演を行うさいたまネクスト・シアターを旗揚げするなど、最後までチャレンジ精神を失わなかった。
 演出家として取り組んだ主な作品は、シェイクスピア、チェーホフ、ギリシャ悲劇、清水邦夫、唐十郎、寺山修司、秋元松代、井上ひさしなど。また、世代の離れた若手劇作家との仕事にも意欲的だった。受賞歴多数。
http://www.my-pro.co.jp/ninagawa/
Performing Arts Network Japanの蜷川関連インタビュー
歌舞伎版『NINAGAWA十二夜』とは?(2005年)
 http://performingarts.jp/J/art_interview /0508/1.html
高齢者と若者と共に民衆史のリアルに立ち向かう(2009年)
 http://performingarts.jp/J/art_interview/0910/1.html
もうひとつの蜷川ワールド(2014年)
 http://performingarts.jp/J/art_interview/1411/1.html

「ふじのくに⇄せかい演劇祭2016」が開幕(4月29日〜5月8日)
 
 SPAC(静岡県舞台芸術センター)主催の「ふじのくに⇄せかい演劇祭」。6回目を迎える2016年は、共同制作を含む7作品をラインナップ。「ふじのくに野外芸術フェスタ2016」との同時開催により、静岡市中心部の駿府城公園でも公演が行われる。
 今回は五大陸を代表する演劇が集結。オープニングは、世界初演となるオン・ケンセン(シンガポール)演出、国際共同制作『三代目、りちゃあど』(野田秀樹作)。歌舞伎の中村壱太郎、狂言の茂山童司、宝塚出身の久世星佳、劇団毛皮族の江本純子をはじめ、日本・シンガポール・インドネシアの実力派俳優やバリの影絵芝居俳優が出演する。
 SPAC芸術総監督の宮城聰は、フランス国立ケ・ブランリー美術館開館10周年記念委嘱作品である新作『イナバとナバホの白兎』を、フランスでの世界初演に先駆け、駿府城公園で野外劇としてプレ上演。オリヴィエ・ピィ(フランス)は、2009年にSPACで上演した『少女と悪魔と風車小屋』の新バージョン(2014年アヴィニョン演劇祭で初演)を発表する。また、ウィリアム・ケントリッジ(南アフリカ)は人形劇団ハンドスプリング・パペット・カンパニーとの共同創作でアパルトヘイトの闇を告発する問題作『ユビュ王、アパルトヘイトの証言台に立つ』を、ワジディ・ムアワッド(カナダ)は、孤独についての考察が張りめぐらされた一人芝居『火傷するほど独り』を、サウサン・ブーハーレド(レバノン)は、一人芝居『アリス、ナイトメア』を日本初演。また、ティム・ワッツ(オーストラリア)が認知症患者の心的世界を描く意欲作を上演する。
 シンポジウムでは、国際的に活躍するアーティストであり、かつ劇場やフェスティバルを運営するプロデューサーでもあるケンセン、宮城、平田オリザが「演劇にしかできないことは何か?」を語り合う。
 期間中は、静岡市の主催による「まちは劇場」プロジェクトの一環として、駿府城公園内や静岡の街中を舞台に実施されるフリンジ企画「ストレンジシード」(無料)に、カンパニーデラシネラや東京ELECTROCK STAIRSなど14団体が出演。また、シンポジウム、俳優やスタッフと触れ合う交流バーや茶摘み会なども予定されている。

[フェスティバル概要]
 専用の劇場や稽古場を拠点に、専属の俳優、舞台技術・制作スタッフが活動を行う日本初の公立文化事業集団として1997年に設立した「SPAC‐静岡県舞台芸術センター」が主催する国際演劇祭。2011年に「Shizuoka春の芸術祭」から「ふじのくに⇄せかい演劇祭」に名称を改め、“ふじのくに(静岡)と世界は演劇を通じて繋がっている”というコンセプトのもと、国内外の演出家による優れた舞台芸術作品が上演される。ディレクターは、SPAC芸術総監督・宮城聰。
ふじのくに⇄せかい演劇祭
http://festival-shizuoka.jp/

第60回(2016年)岸田國士戯曲賞をタニノクロウ『地獄谷温泉 無明ノ宿』が受賞
 
 2月29日、白水社が主催する第60回岸田戯曲賞の最終選考会が行われ、受賞作はタニノクロウ『地獄谷温泉 無明ノ宿』に決定した。本作は、2015年タニノクロウ率いる「庭劇団ペニノ」が東京・森下スタジオで初演。逗留客たちの異形な欲望が潜む温泉宿に人形師の親子が訪れるという、怪奇的な世界を描いた作品。小劇場の中に、脱衣場、風呂、部屋と回り舞台のように姿を変える木造の古びた温泉宿を舞台美術として再現し、話題となった。
 選考委員は岩松了、岡田利規、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、野田秀樹、平田オリザ、宮沢章夫の6氏。岡田氏は、「反時代的であることが時代に対して最高にヴィヴィッドな力を持つのだ、というその最良の例のひとつです。人物たちの秘められた思い、欲望が秘められたまましっとり、かつくっきりと描かれ、それは技術的に見事だというだけでなく、実にセクシーでした。」と評した。
 授賞式は、5月9日に東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で行われる。
 →今月の戯曲 『地獄谷温泉 無明ノ宿』
受賞者プロフィール
タニノクロウ
1976年、富山県出身。2000年昭和大学医学部在学中に「庭劇団ペニノ」を旗揚げ。以降全作品の脚本・演出を手掛ける。庭劇団ペニノは、現実には存在しないタニノの妄想を、細部までつくり込んだ空間造形により表現することを特色とする。『笑顔の砦』(07年)『星影のJr.』(08年)が2年連続で岸田戯曲賞最終候補にノミネート。代表作『苛々する大人の絵本』でヨーロッパツアーを行い、スイスのチューリヒ・シアター・スペクタクル「ZKB Patronage Prize 2010」にノミネート。また、2014年に『誰も知らない貴方の部屋』アメリカ5都市ツアーを行い、好評を得た。
最終候補作品
神里雄大 『+51 アビアシオン, サンボルハ』(「新潮」2015年6月号)
タニノクロウ 『地獄谷温泉 無明ノ宿』(上演台本)
根本宗子 『夏果て幸せの果て』(上演台本)
古川 健 『ライン(国境)の向こう』(上演台本)
ペヤンヌマキ 『お母さんが一緒』(上演台本)
三浦直之 『ハンサムな大悟』(上演台本)
柳沼昭徳 『新・内山』(上演台本)
山本健介 『30光年先のガールズエンド』(上演台本)
岸田國士戯曲賞
http://www.hakusuisha.co.jp/kishida/

新国立劇場2016/2017シーズン ラインアップ発表
 
 新国立劇場の2016/2017シーズンプログラムを発表した。
 演劇では、2014年にピュリッツァー賞を受賞したアニー・ベイカーの戯曲『フリック』をマキノノゾミ演出で本邦初演する。続いて、シェイクスピアの『ヘンリー四世』を鵜山仁演出で2カ月にわたって第1部、第2部を連続上演。また、30代の新鋭演出家3人が昭和30年代に発表された日本の名作戯曲に挑む「かさなる視点─日本戯曲の力─」では、三島由紀夫初の長編戯曲『白蟻の巣』を谷賢一、安部公房の『城塞』を上村聡史、田中千禾夫の『マリアの首』を小川絵梨子が演出する。さらに、日本の近代演劇に影響を与えた海外戯曲を新訳で蘇らせるシリーズ「JAPAN MEETS…─現代劇の系譜をひもとく─」では、ウィリアム・サローヤンの『君が人生の時』(翻訳・浦辺千鶴)とオズボーンの『怒りをこめてふり返れ』(水谷八也)を取り上げる。
 舞踊部門は、バレエ6演目とダンス4演目をラインナップ。バレエでは『ロメオとジュリエット』を皮切りに、フレデリック・アシュトン振付『シンデレラ』、2月のバレンタイン・シーズンには新旧バレエで構成する「ヴァレンタイン・バレエ」、ローラン・プティ振付の『コッペリア』などが並ぶ。ダンス部門では、世界で活躍する日本人アーティストと新国立劇場バレエ団が共演する新作「JAPON dance project」に、島地保武、大宮大奨が参加。中村恩恵が新国立劇場バレエ団とのコラボレーションで新作『ベートーヴェン・ソナタ』を発表する。
 オペラ部門では、新国立劇場開場20周年を迎える2017年に向けて取り組んでいる「ニーベルングの指環」四部作の内、昨シーズンの『ラインの黄金』に続き、『ワルキューレ』と『ジークフリート』を新制作。また、ガエターノ・ドニゼッティ作曲のベルカントオペラの最高傑作のひとつ『ルチア』を、モンテカルロ歌劇場総監督ジャン=ルイ・グリンダが演出。再演は6演目で、『ラ・ボエーム』『蝶々夫人』『セビリアの理髪師』『カルメン』『フィガロの結婚』など名作オペラで広いファン層の獲得を目指す。
新国立劇場
http://www.nntt.jac.go.jp/

文化庁の「平成27年度 東アジア文化交流使」が決定
 
 日中韓各国が自国の中堅・若手芸術家等を一定期間派遣し、実演やワークショップ等を行う「東アジア文化交流使」。第2回となる2015年度は楠木早紀、スズキ拓朗、やなぎみわの3名に決定した。
 楠木早紀は、史上最年少で3人目の永世クイーン。スズキ拓朗は、ダンスカンパニーCHAiroi PLIN(チャイロイプリン)、劇団tamago PLINたまごプリンを主宰する他、ダンサーとしてダンス集団コンドルズに参加するダンサー、振付家、劇作家、演出家。2014年トヨタ コレオグラフィー アワードのファイナリスト、2015年第9回日本ダンスフォーラム賞と第46回舞踊批評家協会新人賞を受賞。国際的に活躍する現代美術作家やなぎみわは、2010年から演劇プロジェクトも手がけ、近作『ゼロ・アワー〜東京ローズ 最後のテープ』で国内および北米カナダツアー。また、台湾で制作した移動劇場ステージトレーラーによる活動で注目される。
 各氏は、2016年2 月〜3月にかけて中国や韓国に滞在し、ワークショップ、フィールドワークなどを行う予定。
平成27年度東アジア文化交流使
楠木早紀(競技かるた永世クイーン)/中国
スズキ拓朗(演出家・振付家・ダンサー)/韓国
やなぎみわ(美術作家・舞台演出家)/中国
文化庁 平成27年度「東アジア文化交流使」リリース
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/2015121401.pdf

「瀬戸内国際芸術祭2016」のラインナップ発表
 
 2010年から3年に一度、瀬戸内海の島々を舞台に開催されている現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」。3回目を迎える2016年は、前回に続き、春・夏・秋の3シーズン制で計108日間、12島・14会場で開催される。今回は「海の復権」をテーマに掲げ、現代アート作品の展示やイベント開催に加え、瀬戸内の「食」を味わう食プロジェクト、アジアを中心とした世界との文化的交流、地域文化の魅力発信に力点を置く。
 参加を予定しているのは、20を超えるの国と地域から約200組の作家やプロジェクト。豊島ではクリスチャン・ボルタンスキーによる風鈴を使った巨大なインスタレーションを展開。大竹伸郎は針工場跡、スプツニ子!は民家を舞台にそれぞれ作品を制作する。直島では、岡田利規演出による森山未來のダンスパフォーマンスが予定されている。
 小豆島では、椿昇ディレクションによる「小豆島町未来プロジェクト」にインドおよび国内から多数の作家が参加。また、犬島では名和晃平がフランスの振付家・ダンサーのダミアン・ジャレと共にパフォーマンス作品を発表する。高松港周辺では、やなぎみわによる移動舞台車も登場する(詳細はウェブサイト参照)。

[フェスティバル概要]
 2010年から3年ごとに、瀬戸内海の島々を舞台に開催する現代アートの祭典。人口の減少や高齢化が進みつつある島々に活力を取り戻すために企画された。主催は瀬戸内国際芸術祭実行委員会。総合プロデューサーは公益財団法人福武財団理事長の福武總一郎、総合ディレクターは北川フラムが務める、瀬戸内海を船で巡りながら島の固有の文化、生活、自然を生かした作品を鑑賞するという新しいアート体験を提供している。
瀬戸内国際芸術祭2016 開催概要
[会期]春:2016年3月20日(日・春分の日)〜4月17日(日)29日間
夏:2016年7月18日(月・海の日)〜9月4日(日)49日間
秋:2016年10月8日(土)〜11月6日(日)30日間
[会場]直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、沙弥島(春会期)、本島(秋会期)、高見島(秋会期)、粟島(秋会期)、伊吹島(秋会期)、高松港・宇野港周辺
[主催]瀬戸内国際芸術祭実行委員会
瀬戸内国際芸術祭
http://setouchi-artfest.jp
Presenter  Topics
ブリュッセルで「クンステン・フェスティバル・デザール 2016」開幕(2016年5月6日〜2016年5月28日)
 
 欧州で最も実験的なラインナップを揃えることで知られるパフォーミング・アーツ・フェスティバル。今年は3月22日のブリュッセル爆破テロ以後、開催が危ぶまれていたが、無事、当初の予定通り決行されることになった。クンステンの公式ウェブサイトには「いまほど、他者とのダイアローグから得られるものが大きい時期はない […] 排除と二極化の作法にもとづく行為を我々は認めない」という、芸術監督クリストフ・スラフマイルダー氏によるメッセージが、フランス語、フラマン語、英語で掲載されている。
 今年の特集作家はフランス、ナンテール・アマンディエ劇場の芸術監督も務める演出家フィリップ・ケーヌ。新作『La nuit des taupes(モグラの夜)』がクンステンとの共同制作のもと世界初演されるほか、フェスティバルセンターに10日間『Welcome to the Caveland!(洞窟国へようこそ!)』と題し、コンサート、サロン、映画会、キッズグラブなど、複数のイベントを同時開催する移動型遊園地のようなインスタレーションが設置される。
 もうひとり、タイの映画監督アピチャッポン・ウィーラセータクンの作品群も、フェスティバルで特集される。映画『トロピカル・マラディ』、短編フィルム、写真などの作品群を複数紹介する展示『メモランダム』、さらに韓国光州のアジア文化殿堂で世界初演された監督初の演劇作品『フィーバー・ルーム』が上演される。
 またパリ、ブリュッセルなどでのテロ事件後、「特定の他者」としてターゲットにされ、社会から排斥されがちな北アフリカと中東の作家も複数人招聘。マラケシュ拠点の振付家ブーシュラ・ウィズグェンがモロッコの伝統的キャバレー・パフォーマーたちと共同創作した『Ottof』、同じくマラケシュ拠点の振付家ラオフィク・イゼディウによるスフィ文化に基づくダンス作品『En Alerte』、カサブランカ拠点のビジュアル・アーティスト、ユーネス・ババ=アリによる都市型インスタレーション『Paraboles / Vu’ Cuprà』、さらに国際演劇祭の常連であるイラン人作家アミール・レザ・コヘスタニによる『Hearing』などが上演される。
 日本からは岡田利規『部屋に流れる時間の旅』、神里雄大『+51 アビアシオン、サンボルハ』、川口隆夫『大野一雄について』の3作が上演される。

[フェスティバル概要]
 ベルギー・ブリュッセルで毎年5月に開催されているパフォーミング・アーツを中心とした現代アートフェスティバル。先鋭的なプログラムで知られ、世界の現代アート界のアンテナフェスティバルとも称されている。ベルギー国内はもとより、ヨーロッパ全域、さらには芸術支援インフラに乏しい発展途上の国々に及ぶ世界の若手アーティストを独自に発掘し、多くの作品プロデュースを行っている。また、長期的視野に立ってアーティストの育成を図るため、複数年にわたり共同制作を行うと同時に、ベルギーやヨーロッパに拠点を置く実力派アーティストの新作を製作し、世界に先駆けて発表している。世界のパフォーミング・アーツの潮流を生み出す震源地の一つ。プロデュース公演と共同製作公演が、プログラム全体の50パーセントを超え、世界初演が約半数を占める。
 2006年を最後に立ち上げから芸術監督を務めてきたフリー・レイセン女史が引退。それまで女史の右腕としてプログラミングを担当してきたクリストフ・スラフマイルダー氏が芸術監督を引き継いだ。近年は国際交流基金の助成プログラム「PAJ」やセゾン文化財団などと協力して日本から岡田利規(チェルフィッチュ)山下残梅田宏明前田司郎(五反田団)などの作品を紹介している。
クンステン・フェスティバル・デザール(Kunsten Festival des Arts)
http://www.kfda.be

2年に一度開催される英国屈指の実験的演劇祭 LIFT(ロンドン国際演劇祭)開幕(2016年6月2日〜7月2日)
 
 「世界中をロンドンに集結させ、ロンドンを世界に紹介する」ことを目的とした英国屈指のエクスペリメンタルな内容を誇る実験演劇祭。2009年度より、マンチェスターの実験的ライブアート・フェスティバル「Fierce!」の創設者として知られるマーク・ボールが芸術監督職に就任。大学で国際政治を学んだというボール就任以後、よりいっそう政治色の強いプログラミングが編成されている。
 2016年度のフェスティバルのテーマのひとつは「移民、コミュニティ、難民危機」。第二次世界大戦以後、史上最大のディアスポラ・クライシスに襲われている欧州の現実を映し出す演劇作品を多く上演する。特にこのテーマの一貫で、ロイヤル・コート劇場と提携し「On the Move(移動中)」と題したミニ・プログラムを編成。ドイツ、ギリシャ、イタリア、レバノン、シリア、英国の作家たちによるインスタレーションや映像、パフォーマンスなどを6月2日から11日にかけて展示する。またドイツを拠点に活躍する振付家コンスタンツァ・マカラスは『Open For Everything』と題した作品で、35人の若者たちと共に、放浪の民として知られるロマについて探求する。ギリシャのblitz theatre groupは『Late Night』で、自分たち暮らすコミュニティが、国家が、日に日に朽ちていくさまをデヴィッド・リンチのような乾いた詩情を湛えつつユーモラスに描く。
 パリのオデオン座、バービカン・センター、LIFTフェスティバルの共同制作で上演されるのはポーランド人演出家クシシュトフ・ワルリコフスキが、サラ・ケインの『フェードラの恋』を翻案して構成した『Phaedra(s)』。イザベル・ユペールが主演することでも話題だ。同時期にバービカン・センターのThe Pit(小劇場)では、日本の革命アイドル暴走ちゃんが14禁演目として2週間上演される。クロージングには、イスラエル出身の振付家ホフェシュ・シェクターがイースト・ロンドンでもっとも才能ある若手振付家・ダンサーを選抜し、ストラトフォードの屋上でナイト・パフォーマンスを行う。

[フェスティバル概要]
 1980年にRose FentonとLucy Nealによってロンドン国際学生演劇祭として発足。翌1981年にポーランド、フランス、ブラジル、オランダ、マレーシア、西ドイツ、日本、ペルー、イギリスのカンパニーを集め、第1回ロンドン国際演劇祭として開催された。以降隔年開催され、2001年までに60カ国以上から重要作を招聘。イギリスの演劇シーンに国際的視野を導入し、劇場以外の都市空間を活用した斬新な上演形態でも注目される欧州有数の国際フェスティバルとなった。
 2003年に芸術監督がオーストラリアのプロデューサーAngharad Wynne-Jonesに交代し、隔年開催の形態を一時休止。サウスバンク・センター、バービカン、サドラーズ・ウェルズ、ICAなどが国際プロジェクトを通年で行うようになった状況を踏まえ、リサーチや比較的小規模の通年活動に移行。公演やディスカッションに使える可動型スペース「The Lift」の建設など実験的な試みを行う。
 2009年にマーク・ボールを芸術監督に迎え、2010年に隔年開催のフェスティバルとして9年ぶりに再開。サイト・スペシフィック・ワーク、体験型パフォーマンスやメディア・コミュニケーションを扱った作品、知的障害者、盲目・聾唖のパフォーマー、あるいは子どもや十代の若者によるパフォーマンスなどが大部分を占めるユニークなプログラムになっている。2012年はロンドン・オリンピック直前の開催となり、43,000人の動員を記録した。
+LIFT ロンドン国際演劇祭(London International Festival of Theatre)
http://www.liftfestival.com

オーストリアの「ウィーン芸術週間」開幕(2013年5月10日〜6月16日)
 
 毎年5月から6月にかけての5週間、オーストリアの首都ウィーンで開催される「ウィーン芸術週間」。毎年約40の作品が招聘され、18万人に及ぶ観客を動員している。芸術的に最高水準を保ちつつ現代社会と対話する音楽、ビジュアル・アート、舞台芸術作品をプログラミングすることを指針に掲げている。総監督はオーストリア出身のピアニストであるマーカス・ヒンターハウザー。舞台芸術部門のディレクターは過去数年で頻繁に入れ替わり、物議を醸していたが、昨年からディレクターにモスクワ出身のジャーナリストのマリーナ・ダヴィドヴァ、チーフ・ドラマトゥルクにシュテファン・シュミトケを迎え安定を保っている。
 オープニングを飾る舞台芸術演目は、昨年のファジール国際演劇祭テヘランで観客に熱狂的に支持された、イラン人演出家アフサーネ・マーヒアン(Afsâneh Mâhian)と劇作家マヒーン・サドリ(Mahin Sadri)のコンビによる『A bit more everyday』。現代イランのキッチンに立つ3人の女性が、80年代にイラク戦争が勃発して以後、どのように自分たちの人生が思わぬ方向に展開していったかを、戦争、法、宗教などのテーマに触れつつ、まるで叙事詩のような言葉を用いて つまびらかに語る。
 モスクワから招聘されるのは、6カ月先までチケット確保が難しいとされる、ロシア人演出家コンスタンチン・ボゴモロフの作品。ゲーテの『ファウスト』、チェーホフの『三人姉妹』、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』、そしてオスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』から自由に抜粋引用して、同じくワイルドの『理想の夫』を刷新する。その他、今年招聘される巨匠演出家・振付家の作品に、スイスのクリストフ・マルターラーによる音楽劇『イゾルデの夕食』、ベルギーのヤン・ファーブルによる24時間マラソン作品『オリンパス山:悲劇という名のカルトを崇めるために』、イタリアのピッポ・デルボーノが 母の死に触発されて創作したという『Orchid(蘭)』、イギリスのサイモン・マクバーニーがバイノーラル録音・伝播されるアマゾン冒険譚をヘッドホンを装着した観客に届ける一人芝居『ザ・エンカウンター』など。またスーザン・ソンタグによる4つの貴重な映像作品が合わせて上映される。

[フェスティバル概要]
 1951年から毎年5月〜6月にかけて開催されているオーストリア最大級の国際フェスティバル。開催地は、ミュージアム・クォーター、テアター・アン・デア・ウィーン劇場、ウィーン楽友協会ホール、シャウシュピールハウス、市内の市場や広場など市全体が舞台となる。世界各国のオペラや演劇を代表する演出家や指揮者、オーケストラなどが手がける最新の舞台芸術、歴史的な演出や最新プロダクション、現代作品が上演される。2011年はリュック・ボンディを総監督に、シュテファニー・カープ演劇監督、シュテファン・リスナー音楽監督の下で、23カ国45のプロダクションが上演され、18万人を動員。日本からはポツドール、高山明が参加。
ウィーン芸術週間(Wiener Festwochen)
http://www.festwochen.at/

ベルリンで「テアター・トレッフェン」開幕(2016年5月6日〜22日)
 
 毎年5月または6月に、ベルリナー・フェストシュピーレが主催するドイツ語圏限定の演劇プラットフォーム。毎年約7人のドイツ語圏の演劇批評家が、テアター・トレッフェンが開催される66週から14週前までにオーストリア、スイス、ドイツで上演されたドイツ語の演劇作品に足を運び、テアター・トレッフェンの芸術監督と共に「1年で最も素晴らしいプロダクション10作」を選出。作品が選ばれた演出家には、選出理由の原稿が各批評家から送られる。今年はドイツ語圏の59都市で上演された394作品の中から38作品がまずノミネートされ、厳正な審査を経て以下の10作が選ばれた。
[1]クレメンズ・ジーンケネヘト&バーバラ・ブルク演出『Effi Briest – although with a different text and a different melody』(ハンブルグ・ドイツ劇場、ドイツ)
[2]シュテファン・プッシャー演出『民衆の敵』(チューリヒ劇場、スイス)
[3]シモン・ストーン演出『ジョン・ガブリエル・ボルクマン』(ウィーン・ブルク劇場、オーストリア)
[4]ハンス=ヴェルナー・クロシンガー演出『Tripping Stone State Theatre』(カールスルーエ・バーデン州立劇場、ドイツ)
[5]ヤエル・ローネン演出『The Situation』(マキシム・ゴーリキー劇場ベルリン、ドイツ)
[6]エルサン・モンタグ作・演出『Tyrannis』(カッセル州立劇場、ドイツ)
[7]ダニエラ・ロフナー演出『父と息子』(ベルリン・ドイツ座、ドイツ)
[8]アナ=ゾフィー・マーラー演出『Middle Rich』(ミュンヘン・カンマーシュピーレ、ドイツ)
[9]カリン・バイアー演出『And the Ship Sails on』(ハンブルグ・ドイツ劇場、ドイツ)
[10]ヘルベルト・フリッチュ演出『der die mann』(ベルリン・フォルクスビューネ劇場、ドイツ)

[概要]
 1963年から毎年5月ベルリンで行われる演劇ミーティング。フリーの演劇評論家からなる審査員団により、ドイツ、オーストリア、スイス各地のドイツ語圏内の舞台で毎年の演劇シーズン内に公演される、約2,000の作品から最高10本までの「優秀」作品が選出・招聘され、若手の登竜門となっている。
 期間中作品上演と並行して、テアター・トレッフェンの主催者であるベルリン・フェストシュピーレ、ミュンヘンのゲーテ・インスティトゥート本部、スイスの文化機関プロ・ヘルヴェツィアが協力して、2週間にわたるワークショップ「国際フォーラム」を開催。ドイツ語圏のみならず、世界各国から35才以下の演劇人が参加。台本の紹介やディスカッションなど若手演劇人のプラットフォームとしても機能している。
テアター・トレッフェン(Theatertreffen)
http://www.berlinerfestspiele.de/de/aktuell/festivals/theatertreffen/ueber_festival_tt/aktuell_tt/start.php

オーストラリア有数の国際芸術祭アデレード・フェスティバル開催(2016年2月26日〜3月14日)
 
 演劇、音楽、ダンス、文学、ビジュアル・アート、児童作品など、2週間半にわたりさまざまな芸術作品が紹介される国際芸術祭。当初はビエンナーレ形式を採用していたが、2012年以後、毎年開催している。現芸術監督は、ロンドンのオルタナティブ・ミュージック・フェスティバルMeltdownの創設者として知られるデヴィッド・セフトン。来年度よりシドニーのベルボア劇場で共同芸術監督を務めたニール・アームフィールド&レイチェル・ヒーリーが同職に就任する予定。
 本年度は、ピナ・バウシュ・ヴッパタール舞踊団が『ネルケン(カーネーションズ)』で35年ぶりにアデレードに招聘されるほか、昨年のエディンバラ演劇祭での初演以後、ロンドンのナショナル・シアターなどで再演を続けているスコットランド国立劇場による『ジェームズ・プレイ3部作』、フランスのGroupe Fによる、デジタル映像とエレクトロニック音楽と火薬インスタレーションを融合した一夜限りの大型野外スペクタクル『À Fleur de Peau』が上演される。
 舞台部門ではほかに、ロメオ・カステルッチの『Go Down, Moses』、カナダのコンテンポラリーダンス・カンパニーThe Holy Body Tattooによる『monumental』、英国のイラストレーターとパフォーマーコンピにより結成されたカンパニー1927による『Golem』などを上演。地元オーストラリアからは、フィリップ・カヴァナー作『Deluge』、Slingsbyカンパニーによる『The Young King』、南オーストラリア州立劇場、ベルボア劇場、マルトハウス劇場が共同制作するデヴィッド・グレッグ作『The Events』などが上演される。
 音楽部門では、米国のドゥーム・メタル・バンドSUNN 0)))、フランスの伝説的プログレッシブ・ロック・バンドMAGMAなどが登場する。
 キッズ・ウィークエンド、小説家週間、アデレード・ビエンナーレ・オブ・オーストラリア・アートなども同時開催される。

[フェスティバル概要]
 1960年、南オーストラリア国立劇場運動に関わり、アデレードにアーツ・フェスティバル開催の潜在能力があると確信したジャーナリスト、ロイド・デュマがアデレード大学の音楽教授ジョン・ビショップとともに、各方面の有力者たちの協力を得て、半月間に105公演(大人向け74公演、子ども向け31公演)という規模でスタート。シドニー、メルボルンと並ぶオーストラリア有数のインターナショナル・フェスティバルとして、偶数年に開催されている。日本のカンパニーでは1994年に第三エロチカ(『マクベスという名の男』)、2000年に維新派(『水街』)などが招聘されている。
アデレード・フェスティバル(Adelaide Festival)
http://www.adelaidefestival.com.au/

ドイツのコンテンポラリーダンス・フェス「タンツプラットフォーム」開催(2016年3月2日〜6日)
 
 2016年で第12回目を迎える「タンツプラットフォーム」は、2年に1度、ドイツ国内のいずれかの都市で開催されるコンテンポラリーダンス・フェスティバル。ドイツ国内の優秀演劇作品10作を上演する「テアター・トレッフェン」のダンス版とも言われ、この2年で最も注目されたドイツ発の12作品を上演する。
 会場は、1996年以来2度目となるフランクフルトのムーゾントゥルム(Mousonturm)。本年度の上演作品は、ムーゾントゥルム芸術監督のマティアス・ペース、ドラマトゥルグのアナ・ヴァーグナー、マーカス・ドロースのほか、舞踊学者サンドラ・ノエス、ファブリック・ポツダム芸術監督スヴェン・ティル、舞踊学者でハンブルグ・サマー・フェスティバルの共同キュレーターも務めるエイケ・ウィットロックによってプログラムされた。
 オープニングを飾るのは、振付家モニカ・ギンタースドルファーとヴィジュアル・アーティストのクヌート・クラッセンによる『Not Punk, Pololo』。セシリア・ベンゴレアなど15名の振付家、ダンサー、パフォーマーから構成される多彩なキャストが、コートジボワールのギャングスターとして有名なジョン・ポロロのストリート・カルチャーと、ジャーマン・パンク、クイア・カルチャーを融合させたダンスを展開する。
 若手ではコミュニティ演劇を学んだあとダンスに転向し、2014年にノルトライン=ヴェストファーレン州若手作家賞アーティス部門を受賞したヴェレナ・ビリンジャー&セバスチャン・シュルツによる『Violent Event』のほか、研究者・ドラマトゥルクのアナ・ヴヤノヴィッチとパフォーマンス作家のサシャ・アセンティッチによる観客参加型パフォーマンス『On Trial Together(Episode Offenbach)』などが上演される。
 バイエルン国立バレエ団は、20世紀前衛芸術を代表するバウハウスの中心的アーティストであるオスカー・シュレンマーが1922年に発表した伝説的な『トリアディック・バレエ(Das Triadische Ballet)』を復元。ドイツ舞踊界を牽引する振付家のひとりであるメグ・スチュアートは、6人のダンサーとジャズトリオの生演奏により、自然発生する人間の行動パターンや社会規制を逸脱した集団行動を描き出す。

[フェスティバル概要]
 フランスのバニョレ国際振付フェスティバルのドイツ選考会(プラットフォーム)としての役割を担って1994年にスタート。第1回はベルリンで開催され、ベルリン、フランクフルト、ミュンヘンの3都市とコラボレーションして同都市で活躍する25カンパニーの作品を上演し、世界中から130人のプロモーターが参加。その後、隔年で2回目をフランクフルト、3回目をミュンヘンで開催。毎回国内外からプロデューサー、ジャーナリストらが招待され、ドイツのもっとも新しいコンテンポラリーダンスのショウケースの場として定着している。第3回以降も、ハンブルグ(2000)、ライプツィッヒ(2002)、デュッセルドルフ(2004)、シュツットガルド(2006)、ハノーバー(2008)、ニュルンベルグ(2010年)、ドレスデン(2012)で開催。
タンツプラットフォーム(Tanzplattform)
http://www.tanzplattform2016.de/

医療と芸術を融合するSICK! フェスティバルによる実験的ラボ「SICK! LAB」開催(2016年3月9日〜12日)
 
 現代社会に潜む病理に対して芸術的にアプローチすることを目的に2013年に設立された複合芸術フェスティバル。ディレクターは看護婦として働いたのちアート・プロデューサーに転職したという異色の経歴の持ち主であるヘレン・メドランド。創設以後、フェスティバルは奇数年に隔年開催されている。偶数年には、より実験的なパフォーマンス、ディスカッション、コラボレーションなどを、「SICK! LAB」と題して4日間にわたり開催する。
 2016年度は「アイデンティティ」と「トラウマ」というテーマに特化し、芸術家、学者、医療関係者などがマンチェスターのコンタクト・シアターに集う。そして「なぜ一人であると感じることは辛いのか?」「社交することで、人は何を得て、何を失うのか?」「私たちはどうしていまだに、宗教、民族、国籍、性、ジェンダーなどを保守的な枠組みにとらわれているのか?」といった議論を行う。
 ロンドンを拠点に活躍するパフォーマンス・アーティストのブライオニー・キミングスは、「世界を改善する」ことを生業にするアーティストである自分と、「世界を算出する」ことを仕事にする会計士である自身のパートナーが、どれだけ異なる世界を生きているか、またなぜ英国の会計士にうつ病患者が異常に多いかを『Fake it till you make it』で暴く。英国シェフィールドを拠点に活動するコメディアンでありパフォーミング・アーティストのキム・ノーブルは『You are Not Alone』で、孤独という名の現代病がどれほど社会を蝕んでいるかをコニカルに描写する。
 そのほか、マンチェスター大学国際救急薬学部教授のアンソニー・レドモンド、同大学芸術言語文化学部教授で戦争や被災地域での演劇を研究するジェームス・トンプソン、エッセクス大学臨床生物倫理学教授ボビ・ファーサイズなどがディスカッションに登壇する。

[フェスティバル概要]
 2013年に創設された英国初の、医療的、精神的、社会的現代病を探究することに特化した複合芸術ビエンナーレ・フェスティバル。分野横断的に様々なアート表現を視野に入れ、演劇、ダンス、映画、インスタレーション、ディベートなどを会期中に実施する。またフェスティバルは他の芸術組織のみならず、医療組織、学会組織、チャリティ組織などとも手を組み運営されている。ブライトンにある実験的アート空間として過去20年以上にわたり重要な役割を果たしているThe Basementを創設したヘレン・メドランドが芸術監督を務める。メドランドは、かつて看護婦であった経験を活かし医療と芸術を結び付けるフェスティバルを立ち上げた。次回のフェスティバル開催は2017年3月。2016年にはSICK! Lab「What Doesn’t Kill Us...(なにが私たちを殺さないのか...)」と題して、4日間にわたり、キム・ノーブルやブライオニー・キミングスによるパフォーマンスや、第一線の医療関係者や学者による講演会やディスカションを行う。
SICK! フェスティバル(SICK! Festival)
http://www.sickfestival.com
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