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2016.7.26
Japan Topics
「あいちトリエンナーレ 2016」開催(2016年8月11日〜10月23日)
 
 愛知県で2010年から3年ごとに開催されている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」。3回目となる2016年は、港千尋芸術監督のもと、「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」をテーマに、8月11日から10月23日までの74日間にわたり開催される。現代美術を柱に、オペラやパフォーミングアーツなども併せて、38の国と地域から119組のアーティストの作品をラインナップ。会場は愛知芸術文化センター、名古屋市美術館に加え、名古屋市・豊橋市・岡崎市の街中でも事業が展開される。
 舞台芸術では、第1回トリエンナーレから取り組んでいるプロデュース・オペラとして、勅使川原三郎が演出・美術・照明・衣裳を担当するモーツァルト作曲『魔笛』(演奏:名古屋フィルハーモニー交響楽団、指揮:ガエタノ・デスピノーサ)を上演。また、国内外から10プログラムを招聘。ブラジルから初来日となる振付家ダニ・リマが、初の子ども向け作品として創作した『Little collection of everything』を本邦初演。フラメンコを革新するイスラエル・ガルバン(スペイン)が『SOLO』と最新作『FLA.CO.MEN』を上演するほか、フィリップ・ドゥクフレ率いるカンパニーDCAがゲーテの「ファウスト」をモチーフに歌やライブ演奏、芝居などを繰り広げる『CONTACT』など日本初演作が並ぶ。
 日本からはCo.山田うんが愛知県奥三河地方で700年以上続く神事「花祭」へのオマージュとして新作を発表。また、日本の即興演奏の第一人者でマース・カニングハム舞踊団の音楽監督を務めた小杉武久が、60年代から現在までの代表的作品を上演するほか、国際展でもインスタレーション作品を展示する。
 なお、主な公演は、10月6日から会期終了までの「レインボーウィークス」に集中して開催される。
あいちトリエンナーレ 2016
http://aichitriennale.jp

「SCOTサマー・シーズン2016」開催(2016年8月26日〜9月4日)
 
 世界的に活躍する演出家・鈴木忠志が率いるSCOT(Suzuki Company of Toga)が1976年から活動してきた富山県東砺波郡利賀村(現南砺市)。その拠点となっている「富山県利賀芸術公園」は、合掌造りの民家を改装した劇場「利賀山房」「新利賀山房」をはじめ、野外劇場、宿舎などが順次整備され、現在では、日本を代表する舞台芸術施設群を誇っている。1982年に日本初の世界演劇祭「第1回利賀フェスティバル」を立ち上げて以来、毎年、国際的なフェスティバルが開催されてきた。2008年からはSCOT企画による舞台芸術の祭典「SCOTサマーシーズン」がスタート。2016年はSCOT公演に加え、「第23回BeSeTo演劇祭」「アジア演出家フェスティバル」を利賀芸術公園および周辺の計7会場を舞台に開催する。主催は富山県・南砺市・公益財団法人富山県文化振興財団で、アジア関連交流プログラムについては国際交流基金アジアセンターが共催。
 SCOTは、「日本流行歌特集」と題し、太宰治の『お伽草紙』を題材に男の悲哀を描いた流行歌劇『愛は病院─カチカチ山より─』の日中伊3カ国語版のほか、鈴木忠志演出の4作品を上演。また、日中韓持ち回りの国際演劇祭「第23回BeSeTo演劇祭」では、9月からの日本開催(鳥取県、新潟県)に先駆けて、世界19カ国で高い評価を得てきた鈴木版ギリシャ悲劇の代表作『ディオニュソス』(エウリピデス原作/1978年初演)を中国、韓国、日本の俳優により上演する。
 「アジア演出家フェスティバル」では、課題戯曲ウージェーヌ・イヨネスコ『椅子』を、許柏昂(台湾/台北)、渡辺亮史(日本/静岡)、イスワディ・プラタマ(インドネシア/ランプン)、倪広金(中国/上海)、キム・ジョングン(韓国/ソウル)のアジア5都市の気鋭の演出家により競演する。
 その他、シンポジウムやトーク、上映会なども開催される。利賀の公演では入場料金の設定を2013年から廃止し、観客の裁量に委ねる寄付方式を採用している。観劇申込にはSCOT倶楽部への事前登録が必要。
SCOTサマー・シーズン2016
http://www.scot-suzukicompany.com/sss/2016/

最終開催の第10回「トヨタ コレオグラフィーアワード 2016」ファイナリスト決定
 
 「トヨタ コレオグラフィーアワード」は、次代を担う振付家の発掘・育成を目的としてトヨタ自動車株式会社がスポンサーとなり、世田谷パブリックシアターとの提携事業として2001年にスタートしたコンテンポラリーダンスのコンペティション。10回目となる2016年は、201組(221名)の応募の中から、選考会にて以下の6名のファイナリストが決定した。
 8月6日に世田谷パブリックシアターで一般公開による最終審査会“ネクステージ”を開催し、ファイナリストが振付作品を上演し、「次代を担う振付家賞」1名、「オーディエンス賞」1名を決定する。
 「次代を担う振付家賞」受賞者は翌年度に受賞者公演を実施。作品製作費の一部として協賛金200万円の他、公演会場(シアタートラム)、作品創作のための施設(金沢21世紀美術館)が提供される。
 新進振付家の登竜門となっていた本アワードは、今回で最終開催となる。選考では、国内の劇場等のディレクターの審査委員に加え、ゲスト審査委員に第2回同アワード受賞者の黒田育世や椿昇、中川賢一、羊屋白玉など国内外で活躍する多分野のアーティストが起用されている。
ファイナリスト(五十音順/活動拠点)
上野愛実(うえの・なるみ)/兵庫
黒田杏菜(くろだ・あんな)/オーストラリア
平原慎太郎(ひらはら・しんたろう)/東京
森崎剛史(もりさき・つよし)/富山
横山彰乃(よこやま・あやの)/東京
渡邉 尚(わたなべ・ひさし)/京都
審査委員・ゲスト審査委員(五十音順)
審査委員:大谷 燠、蔭山陽太、唐津絵理、黒田裕子、藤田直義、三上さおり、宮久保真紀
ゲスト審査委員:黒田育世、椿 昇、中川賢一、羊屋白玉
トヨタ自動車 社会貢献活動
http://www.toyota.co.jp/tca/

アジア・プロデューサーズ・プラットフォーム(APP)キャンプが開幕(2016年6月26日〜7月2日)
 
 アジア域内の舞台芸術に関わるインディペンデント系プロデューサーなどがネットワークを構築し、国際交流や共同制作の環境づくりを議論する「アジア・プロデューサーズ・プラットフォーム(APP)キャンプ」が6月26日から7月2日まで東京と静岡で開催されている。APPキャンプは、アジア・ナウ(韓国)、パフォーミング・アーツ・アライアンス(PAA・台湾)、舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM・日本)、ライブ・パフォーマンス・オーストラリア(LPA)、パフォーミング・ライン(オーストラリア)が連携して取り組んでいるもので、2014年にスタート。第1回韓国、第2回台湾を経て、今回はON-PAMの主催により初の日本開催。詳細はON-PAMサイト参照。
舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)
http://onpam.net/

演出家・蜷川幸雄さん死去
 
 “世界のニナガワ”と称され、国際的にも活躍したスター演出家の蜷川幸雄さんが、5月12日午後1時25分、肺炎による多臓器不全のため東京都内の病院で死去した。享年80歳。体調を崩しながらも酸素吸入器に車椅子という出で立ちで稽古に現れ、精力的に舞台演出に取り組んでいたが、昨年12月半ばに軽い肺炎のため入院。2月に予定していた自らの半生を題材にした新作『蜷の綿 Nina's Cotton』(作:藤田貴大)を中止するなど、現場復帰はかなわなかった。
 アングラ演劇から商業演劇に挑み、うち捨てられた民衆の過剰なエネルギーを投影したスペクタクルな群衆演出、聖俗すべてを飲み込んだような猥雑な美術、時代のメタファーである鏡や水舞台による空間演出などにより、演劇によって社会を映し出し、民衆とともに闘う姿勢を貫いた。生涯に演出した戯曲は約120本。若い俳優やスタッフ、劇作家との仕事に力を入れ、多くの演劇人を世に出した。また、彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督として、55歳以上の無名の高齢者とともに個人史をベースにした新しい演劇の形態を模索するさいたまゴールド・シアターに取り組み、社会現象になった。

蜷川幸雄プロフィール
 1955年に劇団青俳に入団。俳優活動を経て、67年に蟹江敬三、石橋蓮司らと劇団現代人劇場を結成し、翌年発表した清水邦夫作品『真情あふるる軽薄さ』で演出家デビュー。『想い出の日本一萬年』『明日そこに花を挿そうよ』『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』など、時代をアジテートするような若者たちの反逆精神を反映した作品を世に問う。72年に再び蟹江、石橋に清水を加えて演劇集団櫻舎を結成し、『ぼくらが非情の大河をくだる時』で旗揚げ。60年代〜70年代のアングラ演劇をリードする旗手として活躍した。
 74年に日生劇場で上演した『ロミオとジュリエット』で商業演劇の演出家としての活動をスタート。以来、うち捨てられた民衆のエネルギーを象徴したダイナミックな群衆演出や聖俗すべてを飲み込んだような猥雑な美術、シェイクスピア戯曲などのローカライズ、日本の劇作家と組んだ創作劇により長年にわたって活躍。83年、平幹二朗がメディアを演じ、辻村ジュサブロー(現・辻村寿三郎)がアートディレクターを務めた『王女メディア』により初のギリシャ公演を敢行。以来、海外で数多くの公演を行う。特にイギリスとの縁が深く、85年に初めて『NINAGAWAマクベス』を上演してから毎年のようにイギリス公演を行い、2002年には名誉大英勲章第三位(CBE)を受章。
 また、1984年から2008年まで、廃工場を再利用した空間「ベニサン・ピット」を拠点に、若い俳優・スタッフとともに小劇場演劇の試みを行うGEKI-SHA NINAGAWA STUDIO(2004年にニナガワ・スタジオに改称)で実験的な作品づくりに取り組み、多くの人材を育てた。1999年にBunkamuraシアターコクーン、2006年に彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督に就任。彩の国さいたま芸術劇場ではシェイクスピア全37戯曲に取り組み、31作を上演。また、55歳以上の無名の高齢者とともに“個人史をベースにした新しい演劇の形態を模索する”さいたまゴールド・シアターを旗揚げ。2009年には若い俳優たちに自らの演劇哲学を伝える公演を行うさいたまネクスト・シアターを旗揚げするなど、最後までチャレンジ精神を失わなかった。
 演出家として取り組んだ主な作品は、シェイクスピア、チェーホフ、ギリシャ悲劇、清水邦夫、唐十郎、寺山修司、秋元松代、井上ひさしなど。また、世代の離れた若手劇作家との仕事にも意欲的だった。受賞歴多数。
http://www.my-pro.co.jp/ninagawa/
Performing Arts Network Japanの蜷川関連インタビュー
歌舞伎版『NINAGAWA十二夜』とは?(2005年)
 http://performingarts.jp/J/art_interview /0508/1.html
高齢者と若者と共に民衆史のリアルに立ち向かう(2009年)
 http://performingarts.jp/J/art_interview/0910/1.html
もうひとつの蜷川ワールド(2014年)
 http://performingarts.jp/J/art_interview/1411/1.html

「瀬戸内国際芸術祭2016」のラインナップ発表
 
 2010年から3年に一度、瀬戸内海の島々を舞台に開催されている現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」。3回目を迎える2016年は、前回に続き、春・夏・秋の3シーズン制で計108日間、12島・14会場で開催される。今回は「海の復権」をテーマに掲げ、現代アート作品の展示やイベント開催に加え、瀬戸内の「食」を味わう食プロジェクト、アジアを中心とした世界との文化的交流、地域文化の魅力発信に力点を置く。
 参加を予定しているのは、20を超えるの国と地域から約200組の作家やプロジェクト。豊島ではクリスチャン・ボルタンスキーによる風鈴を使った巨大なインスタレーションを展開。大竹伸郎は針工場跡、スプツニ子!は民家を舞台にそれぞれ作品を制作する。直島では、岡田利規演出による森山未來のダンスパフォーマンスが予定されている。
 小豆島では、椿昇ディレクションによる「小豆島町未来プロジェクト」にインドおよび国内から多数の作家が参加。また、犬島では名和晃平がフランスの振付家・ダンサーのダミアン・ジャレと共にパフォーマンス作品を発表する。高松港周辺では、やなぎみわによる移動舞台車も登場する(詳細はウェブサイト参照)。

[フェスティバル概要]
 2010年から3年ごとに、瀬戸内海の島々を舞台に開催する現代アートの祭典。人口の減少や高齢化が進みつつある島々に活力を取り戻すために企画された。主催は瀬戸内国際芸術祭実行委員会。総合プロデューサーは公益財団法人福武財団理事長の福武總一郎、総合ディレクターは北川フラムが務める、瀬戸内海を船で巡りながら島の固有の文化、生活、自然を生かした作品を鑑賞するという新しいアート体験を提供している。
瀬戸内国際芸術祭2016 開催概要
[会期]春:2016年3月20日(日・春分の日)〜4月17日(日)29日間
夏:2016年7月18日(月・海の日)〜9月4日(日)49日間
秋:2016年10月8日(土)〜11月6日(日)30日間
[会場]直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、沙弥島(春会期)、本島(秋会期)、高見島(秋会期)、粟島(秋会期)、伊吹島(秋会期)、高松港・宇野港周辺
[主催]瀬戸内国際芸術祭実行委員会
瀬戸内国際芸術祭
http://setouchi-artfest.jp
Presenter  Topics
英国スコットランドで第69回「エジンバラ国際演劇祭」開幕(2016年8月5日〜29日)
 
 昨年度から新芸術監督ファーガス・リネハンを迎え、演劇、ダンス、オペラのみならず、現代音楽やジャズなどのプログラミングにも力を入れているエジンバラ国際演劇祭。今年は3つのオペラ作品、8つの演劇作品、5つのダンス作品、4つのクラシック音楽作品、そして15の現代音楽作品を上演する。
 まずオペラ部門では、『美しいひと』などの映画監督としても知られる演出家クリストフ・オノレが演出を務め、ジェレミー・ローレルが指揮するモーツアルト作曲『コジ・ファン・トゥッテ』、世界的メゾソプラノ歌手チェチーリア・バルトリが主演するヴィンチェンツォ・ベッリーニ作曲『ノルマ』、ワレリー・ゲルギエフが芸術総監督を務めるマリンスキー・オペラによるワーグナー作曲『ラインの黄金』の3作が上演される。
 演劇部門では、トーマス・オスターマイヤー演出『リチャード3世』、デクラン・ドネラン演出『尺には尺を』、さらに英国人演出家ダン・ジャメットが『十二夜』を翻案した『SHAKE』、というシェイクスピア3作品をプログラム。また、アメリカン・レパートリー・シアターが、トニー賞受賞女優チェリー・ジョーンズを迎えテネシー・ウィリアムズ作『ガラスの動物園』を上演する。フェスティバル開催地である地元グラスゴーからは前衛劇団Vanishing Pointが『The Destroyed Room』『Interiors』という小作品で参加する。
 ダンス部門では、ロイヤル・バレエ団のトップバレリーナであるナターリア・オシポワが、ラッセル・マリファント、アーサー・ピタ、シディ=ラルビ・シェルカウィという3人の現代振付家作品に挑戦。アクラム・カーンは2011年に自伝作として発表された『DESH』を子ども向けにリメイクした『Chotto Desh』を上演。カナダのコンテンポラリー・ダンス・カンパニーThe Holy Body Tattooは、ポストロックバンドGodspeed You! Black Emperorの生演奏に乗せて踊る『monumental』を上演する。

[フェスティバル概要]
 1947年から英国北部、スコットランドの首都エジンバラで毎年8月初旬から3週間にわたって開催されているオペラ、音楽、演劇、ダンス、美術の国際フェスティバル。2006年〜2014年までディレクターは、オーストラリア人の作曲家でメルボルン・フェスティバルでの経験もあるジョナサン・ミルズが務めた。
 2011年(第65回)のプログラムではアジアにフォーカスし、アジアの伝統的/現代的な舞台芸術を含む、約140のイベントがエジンバラ市内各所の11会場を使って実施された。音楽では、インドネシアのジョグジャカルタ王立ガムラン演奏、シタール奏者ラヴィ・シャンカルやサロード奏者アムジャッド・アリー・カーンなどのアジアの古典音楽から、中国出身のギター奏者スーフェイ・ヤン、シンガポールのT'ANG QUARTET、チョン・ミョンフン指揮のソウル・フィルハーモニー管弦楽団、新世代を代表する中国のピアニストユンディ・リまで多彩なプログラムをラインナップ。また、カナダのモントリオール交響楽団と英国のアルディッティ弦楽四重奏団は日本の現代音楽の作曲家、武満徹と細川俊夫をフォーカス。演劇では、日米の国際共同制作作品として、村上春樹原作の小説「ねじまき鳥クロニクル」を原作に映像作家スティーブン・アーンハートが演出し、日米の出演者による映像テクノロジーを駆使した『The Wind-up Bird Chronicles』が世界初演された。その他、日本からは写真家・杉本博司が招聘され、展覧会も開催された。
 2015年より、ダブリン・ダンス・フェスティバル、シドニー・フェスティバル、シドニー・オペラ・ハウスのプログラマーを歴任したファーガス・リネハンが芸術監督に就任。
エジンバラ国際演劇祭(Edinburgh International Festival)
http://www.eif.co.uk

第28回ベルリン国際ダンス・フェスティバル「8月のダンス」開幕(2016年8月12日〜9月4日)
 
 ドイツのコンテンポラリー・ダンス・シーンを牽引する「8月のダンス」が今年も開幕。メグ・スチュアート、エマニュエル・ガット、デボラ・ヘイなどの世界的振付家から、新進作家まで計27作品が上演される。
 エマニュエル・ガットは今年のヴェネツィア・ダンス・ビエンナーレで世界初演され好評を得た『SUNNY』で参加。かつてのカンパニー・メンバーであり、現在はエレクトロニック・ミュージック界の新星として注目を浴びるアウィール・レオンの音楽に乗せ、フランスの批評家から「身体により解釈され、視覚化された音楽」と評された作品を上演する。
 過去20年にわたり「親密さと距離感」というテーマを探究してきたメグ・スチュアートは、他のアーティストとコラボレーションした2作品を上演。1作目はミュンヘン・カンマーシュピーレの俳優と共にクリエーションした『Until Our Hearts Stop』。この作品ではジャズ・トリオの生演奏に乗せて、6人のパフォーマーたちが人と人とのあいだに存在する壁を描いていく。『Blessed』は、ポルトガル人振付家フランシスコ・カマーチョとメグ・スチュアートが共同創作した作品。2007年にフランス演劇・ダンス・音楽批評家賞の最優秀海外パフォーマンス部門、2012年にベッシー賞最優秀ビジュアル・デザイン賞を受賞した。段ボールという小道具のみで、孤独な終末感を描きだす。
 若手振付家として注目されるのがシリア人振付家Mithkal Alzghairで、多くのシリア人の現実である「強いられた定住と移動生活」をテーマにした『Displacement』を上演する。この他、米国黒人振付家カイル・アブラハムがアフリカン・アメリカンとしてのアイデンティティを追求した『Pavement』、またドイツ系韓国人Honji Wangとフランス系スペイン人Sébastian Ramirezの2人組カンパニーWang Ramirezがワイヤー・アクションを取り入れたダイナミックで詩的な『Everyness』を上演する。

[フェスティバル概要]
 国際的なコンテンポラリー・ダンス・シーンへの新たなアプローチを提示・支援する団体として1988年に設立されたタンツ・ウェルクスタット・ベルリン (TanzWerkstatt Berlin=ダンス・ワークショップ・ベルリン)と、ベルリンのフリー・シアター・シーン(小劇場界)を代表する劇場HAUが共同企画・運営するダンス・フェスティバル。2011年は梅田宏明が参加。
8月のダンス(Tanz im August)
http://www.tanzimaugust.de

第70回アヴィニョン演劇祭が開幕(2016年7月4日〜25日)
 
 欧州を代表するアヴィニヨン演劇祭が開幕した。法王庁広場でのオープニングを飾ったのは、ルキノ・ヴィスコンティの映画を基にしたオランダの演出家イヴォ・ヴァン・ホーヴェが演出する『地獄に堕ちた勇者ども』。続いて、昨年のフェスティバル/トーキョーで『地上に広がる大空(ウェインディ・シンドローム)』を披露したスペインの演出家アンジェリカ・リデルが、食人鬼として知られる佐川一政に影響を受けて創作したという『¿QUÉ HARÉ YO CON ESTA ESPADA ?(この剣で、私、なにをすべきか?)』を世界初演する。
 今年のプログラムは政治色の強い作品が選ばれているのが特徴で、中でも混乱を極める中東の作家の作品が数多くラインナップされている。アヴィニヨン演劇祭のメイン会場ともいえる法王庁広場には、イスラエル生まれの巨匠演出家アモス・ギタイが初登場。『Yitzhak Rabin: Chronique d’un assassinat(イツハク・ラビン:殺人クロニクル)』と題し、1995年に和平反対派の青年に射殺された第11代イスラエル首相のイツハク・ラビンについての政治演劇を一晩限りで上演する。
 シリア生まれ、ロンドン育ち、現在はベイルートを拠点に活動する若手劇作家モハメッド・アル=アターもアヴィニヨン初登場。同じくシリア生まれのオマール・アブサダによる演出で『Alors que j’attendais(待っているあいだ)』を上演する。レバノン出身の振付家アリ・シャルーアは、詩人ファトメ・ザーラ、エジプト人歌手ウム・クルトゥム、そして予言者ムハンマドにまつわる55分のダンス作品『Fatmeh』を発表。さらにフェスティバル/トーキョーで来日公演を行ったこともある国際フェスティバルの常連、イラン人劇作家アミール・レザ・コヘスタニは、「大晦日の晩に男が女子寮に忍びこんだ」日常的な事件をイランの社会問題にまで拡張する『Hearing』を上演する。

[フェスティバル概要]
 1947年、ジャン・ヴィラールによって創設された新作発表の規模、数、質において欧州で1、2を競う舞台芸術フェスティバル。2004年からアソシエート・アーティスト制度を採用し、毎年異なるアーティストがプログラムの選定を務めている。近年の総演目数は40前後。メイン会場であるパレ・デ・パップ(法王庁宮殿)の中庭、キャリエール・ ドゥ・ブルボン(石切り場)など、アヴィニョン市内約20カ所のさまざまな施設で上演が行なわれ、ほぼ市の人口に匹敵する10万人が町を訪れる。プレス各紙は毎年アヴィニョン演劇祭特集ページを組み、連日舞台評を掲載。2005年のヤン・ファーブル作品のように時には演劇界あげての大論争に発展することもある。
 演劇祭開催と時を同じくして「アヴィニョン演劇祭OFF」(http://www.avignon-off.org)と呼ばれる数多くの公演も行われる。オフは自由参加制。また、舞台芸術以外にも、展示会、コンサート、詩の朗読、などさまざまなイベントが開催され、期間中は町全体が祭りの雰囲気に包まれる。
 2013年から演出家オリヴィエ・ピィが芸術監督に就任。2014年には宮城聰演出『マハーバーラタ〜ナラ王の冒険〜』、また日本の俳優たちをフランスの巨匠クロード・レジが演出したメーテルリンクの『室内』が上演された。
アヴィニョン演劇祭
http://www.festival-avignon.com/en/

インパルスタンツ・ウィーン国際ダンス・フェスティバル開幕(2016年7月14日〜8月14日)
 
 毎年、夏に開催されている欧州最大規模のダンス・フェスティバル。今年のオープニングを飾るのは、フランス人言語学者エミール・バンヴェニストの思想をもとにテクノサウンドにのせたマギー・マランによる『BiT』。メイン会場のフォルクスオパーでは、ベルギーを代表する3カンパニー(アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル&Rosas、ヴィム・ヴァンデケイビュス&ウルティマ・ヴェス、クロージングを飾るニードカンパニー)が顔を揃えるほか、天児牛大率いる山海塾、カナダのマリー・シュイナール・カンパニーなど、錚々たる一流カンパニーが5週間にわたり登場する。
 さらにミュージアム・カルティエの一角にあるレオポルド美術館のワンフロアを占拠して、ビジュアル・アートとコンテンポラリーダンスの境界線を行き来するような作品群を発表。このオープン・スペースには、グザヴィエ・ル・ロワ、クリス・ハーリング、竹谷明美、イアン・ケーラー、イヴォ・ディムチェフなどの振付家/ダンサーが登場する。
 若手振付家を紹介する「8:tension」シリーズでは、今年、欧州、アメリカ、ブラジルから選ばれた13作品を上演。最も優秀な作品には、カジノ・オーストリア・ジャルダン・ヨーロッパ賞と、FM4ファン・アワードが与えられることになる。

[フェスティバル概要]
 1984年にウィーンで、ブラジル出身のダンサー・振付家のイズマエル・イヴォらが立ち上げたウィーン国際ダンス・ウィークが母体。当初ワークショップ・フェスティバルとしてスタートしたが、その後パフォーマンス上演が加わり、88年に現在の名称になった。ヴィム・ヴァンデケイビュス、マリー・シュイナールをはじめ、ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップス、ローザス、ジョセフ・ナジ、エミオ・グレコら、世界で活躍する振付家、カンパニーを紹介し、ヨーロッパを代表するダンス・フェスティバルのひとつとなっている。96年には奨学制度「ダンスウェブ・ヨーロッパ(danceWeb-Europe)」を立ち上げた。
 5週間の開催期間中、10会場で上演される40本以上のパフォーマンスは3万人の観客を集め、40人の講師による160のワークショップには3,000人が参加する。ほかにリサーチ・プロジェクトもあり、コンテンポラリーダンスの最新の傾向を探る場にもなっている。1984年の創設当初よりカール・レーゲンスブルガーが芸術監督を務める。
インパルスタンツ・ウィーン国際ダンスフェスティバル
(ImPulsTanz - Vienna International Dance Festival)
http://www.impulstanz.com
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