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Japanese Drama Database
Japanese Title: 毛皮のマリー
English Title: La Marie Vison
Author: 寺山 修司
Author's Profile: 1935年、青森県生まれ。早稲田大学教育学部中退。大学時代に『短歌研究』で作品が特選となり、歌人として注目される。在学中にラジオドラマを手がけるとともに、詩劇を書いていたが、1959年には詩人らとともに詩劇グループ「鳥」を結成した。
1960年に、劇団四季の依頼により、「血は立ったまま眠っている」を執筆し、上演される。1965年には、放送のための叙事詩「犬神の女」で久保田万太郎賞を受賞した。1967年、横尾忠則、東由多加、九條映子らと「演劇実験室・天井棧敷」を結成し、「青森県のせむし男」、「大山デブコの犯罪」、「毛皮のマリー」、「花札伝綺」を続けて上演する。その後、1969年には「天井棧敷館」地下小劇場を設け、この頃から広く海外でも活躍。(フランクフルト国際前衛演劇祭で「犬神」を初演。)
また、街頭における演劇も手がけ、1975年には30時間市街劇「ノック」を上演するなど、新しい演劇形式への挑戦を続けた。1970年〜80年代にかけての代表作に「奴婢訓」(1978年)、「レミング」(1979年)、「百年の孤独」(1981年)などがある。戯曲のほかに、小説、詩や評論、あるいはラジオ、テレビ、映画など多種のメディアに関わる作品を発表。国内外でさまざまな賞を受賞している。1983年没。
First Performance:   1967
Performance time:  
Acts / Scenes: 5
Cast: 15人(男7・女8)


親の子に対する過剰な近親愛と憎悪が入り交じった物語。

男娼「毛皮のマリー」は召使いとともに、十八歳の息子、欣也と暮らしている。欣也は毎日部屋から一歩も出ずに一日を終わる毎日。マリーによって応接間に放たれた蝶を追いかけている。「長生きさせるときたなくなる」そんなことを思いながら蝶を捕まえては殺し、標本にする。しかし、そんな欣也自身もマリーによって檻の中で生活をしているようなものである。十八歳で半ズボンをはかされているのは、「子供であれ」という、親の過剰な愛を象徴しているようだ。また、欣也はマリーを「マリーさん」としか呼ぶことができず、マリーは「お母さん」と呼ぶことを強要する。

そんなある日、欣也の前に一人の女性が現れ、欣也に「大人の男性」になることと外の世界に出ることへの誘惑を仕掛ける。彼が外に出ようとしたとき、マリーが客を連れて家へ戻ってくる。そして自身の出生の秘密を知る。かつてまだマリーが男娼ではなく、自分が「女でない」ことに苦しみ続けていた時に、暖かく手を差しのべ女として認めてくれた女性がそばにいた。しかし、そんな優しい彼女も、どんどん美しくなっていくマリーに嫉妬し、マリーを裏切った。自分がどうしようもなく性的に男であるという現実を突きつけられたのだ。なんとかして「自分と同じくらいの恥ずかしい目に合わせてやろう」と考えるマリーはその復讐に、彼女を強姦するように男に指示し、そして生まれたのが欣也だった。難産で母親が死んでしまったのをいいことにマリーは欣也を引き取り、自分の思うがままに育てようとする。その事実を知ってしまった欣也は傷つき帰ってくる。そしてマリーの思うがままに女へと変貌させられていく。
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