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2020.3.31
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第64回(2020年)岸田國士戯曲賞、市原佐都子と谷賢一がダブル受賞
 
 2月13日、白水社が主催する第64回岸田戯曲賞の最終選考会が行われ、受賞作は市原佐都子『バッコスの信女−ホルスタインの雌』、谷賢一『福島三部作(「1961年:夜に昇る太陽」「1986年:メビウスの輪」「2011年:語られたがる言葉たち」)』に決定した。
 市原佐都子は、劇作家・演出家・小説家。1988年福岡県生まれ。桜美林大学卒業。2011年よりソロユニット「劇団Q」を主宰。本作はギリシャ悲劇『バッコスの信女』(エウリピデス作)のテーマや構造を大胆に翻案。2019年10月にあいちトリエンナーレ2019にて初演された。選考委員の岩松了は、「一人の主婦を凝視し、その性をコロスを使った古代ギリシャ劇の形式を用いて表現した。すべての言葉、人物、小道具が演劇の面白さを伝えて、圧倒的な傑作である」と評した。
 谷賢一は、福島三部作により鶴屋南北戯曲賞とのダブル受賞。選考委員の柳美里は、「谷賢一は『福島三部作』によって、その視界のギャップを埋めることなく、そのまま観客であるわたしたちに突き付けてくる。観客席に座っていていいのか? 『福島三部作』は、わたしたちの「良心」の居心地を悪くする戯曲である」とコメントした。

「アーティスト・インタビュー」谷賢一
最終候補作品(作者五十音順、敬称略)
市原佐都子 『バッコスの信女−ホルスタインの雌』(上演台本)
岩崎う大 『GOOD PETS FOR THE GOD』(上演台本)
キタモトマサヤ 『空のトリカゴ』(上演台本)
ごまのはえ 『チェーホフも鳥の名前』(上演台本)
谷賢一 『福島三部作 1961年:夜に昇る太陽/1986年:メビウスの輪/2011年:語られたがる言葉たち』(上演台本)
西尾佳織 『終わりにする、一人と一人が丘』(上演台本)
根本宗子 『クラッシャー女中』(上演台本)
山田由梨 『ミクスチュア』(上演台本)
選考委員
岩松了、岡田利規、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、野田秀樹、平田オリザ、柳美里(五十音順)
岸田國士戯曲賞
http://www.hakusuisha.co.jp/kishida/

第23回鶴屋南北戯曲賞、谷賢一の『1986年:メビウスの輪』に決定
 
 一般財団法人光文文化財団が主催する鶴屋南北戯曲賞は、その年に上演された日本語の新作戯曲に贈られる戯曲賞。第23回鶴屋南北戯曲賞では、7名の現役演劇記者からなる選考委員会を開催し、2019年12月19日の第一次選考会で4作品をノミネート、2020年1月15日の選考委員会で最優秀作品に、谷賢一の『1986年:メビウスの輪』を決定した。賞金は200万円。
 谷賢一は、作家・演出家・翻訳家。1982年福島県生まれ、千葉県柏市育ち。DULL-COLORED POP主宰。Theatre des Annales代表。明治大学演劇学専攻、ならびにイギリス・University of Kent at Canterbury, Theatre and Drama Study にて演劇学を学んだ後、劇団を旗揚げ。「斬新な手法と古典的な素養の幸せな合体」(永井愛)と評された、ポップでロックで文学的な創作スタイルで、脚本・演出ともに幅広く評価を受けている。
 本作は、2年半に渡る取材成果を三部作・三世代の家族の話として紡ぎ直し、人間のドラマとして福島と原発の歴史を問い直す『福島三部作』のシリーズ第二弾。実在した町長・岩本忠夫氏の人生に取材し、原発立地自治体の抱える苦悩と歪んだ欲望を克明に描き出した作品。DULL-COLORED POP の第20回本公演として、2019年7月〜9月に東京・大阪・福島にて上演された。

「アーティスト・インタビュー」谷賢一
ノミネート作品(公演順)
『ヒトハミナ、ヒトナミノ』横山拓也
『命、ギガ長ス』松尾スズキ
『美しく青く』赤堀雅秋
『1986年:メビウスの輪』谷賢一
*選考委員:
山口宏子(朝日新聞)、中村正子(時事通信)、林尚之(日刊スポーツ)、内田洋一(日本経済新聞)、内野小百美(報知新聞)、小玉祥子(毎日新聞)、祐成秀樹(読売新聞)
鶴屋南北戯曲賞(一般財団法人光文文化財団)
https://kobun.or.jp/gikyoku/

第19回AAF戯曲賞の大賞は、小野晃太朗の『ねー』に決定
 
 AAF戯曲賞は、「戯曲とは何か?」をテーマに公益財団法人愛知県文化振興事業団が2000年に創設したもの。上演を前提に戯曲を公募し、一次審査、二次審査により最終候補作品を選考し、公開審査で大賞を決定する。今年度は、136作品の応募作品の中から2020年1月5日の公開審査会により、大賞に小野晃太朗『ねー』が大賞、三野新の「うまく落ちる練習」が特別賞に選出された。
 小野晃太朗は、1988年福島県生まれ。2008年日本大学芸術学部演劇学科劇作コース入学と共に戯曲を書き始める。2015年個人ユニット「シニフィエ」を立ち上げ。ドラマトゥルクとして活動。本作は実際に起こった「池袋アクエリアス昏睡レイプ事件」に着想した物語。2021年度以降に愛知県芸術劇場のプロデュース公演として、愛知県芸術劇場小ホールにて上演する予定。
 また、受賞作およびノミネート作品は、愛知県芸術劇場のウェブサイトで公開されている。
ノミネート作品
『異聞・シーシュポスの神話』 平賀美咲
『入墨淘汰』 野滝希
『うまく落ちる練習』 三野新
『ねー』 小野晃太朗
審査員
白神ももこ(演出家・振付家・ダンサー、モモンガ・コンプレックス主宰)、鳴海康平(演出家、「第七劇場」代表)、三浦基(演出家、「地点」代表)、やなぎみわ(アーティスト)
第19回AAF戯曲賞
https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/event/detail/000293.html#000293
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オーストリア屈指の複合芸術祭「ウィーン芸術週間」(2020年5月15日〜6月21日)が中止発表
 
 欧州屈指の歴史と規模を誇る国際芸術祭でありながら、過去数年間、幾人ものプログラマーや芸術監督の退任により、プログラミングに安定感を欠いていたウィーン芸術週間。2018年から6年間は、長年にわたりクンステンフェスティバル・デザールを牽引したクリストフ・スラフマイルダーが総芸術監督に就任。今年度から彼の本格的なプログラミングとなる予定だったが、新型コロナウィルス感染拡大防止のため中止となり、選択肢を検討中。
 今年度は46作品が計画され、そのうち15作品が世界初演の予定だった。多くの作品がブレヒトが言うところの「暗黒の時代」を連想させるような、様々な「終わり」、また私たちの未来がどうなるかを予見させるような作品が並んでいた。
 上演予定だったプログラムは次の通り。京都国際舞台芸術祭で世界初演された岡田利規の『消しゴム森』、ハイナー・ゲッペルズによる欧州の近代大戦を批判的に読解する『Everything that Happened and Would Happen (今まで起きたことと、これから起きることのすべて)』、フィリップ・ケーヌが現代農業の環境的問題点をカカシの視点と鳥の歌声で訴える『Farm Fatale(運命の農場)』、ケーヌが初めてオペラ曲を演出し、ポストヒューマンな視座から読解するグスタフ・マーラーの『大地の歌』、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルの世界初演ソロ、ロメオ・カステルッチが生への賛歌を表す共同葬儀として演出するモーツァルトの『レクイエム』など。

[フェスティバル概要]
 1951年から毎年5月〜6月にかけて開催されるオーストリア最大級の国際フェスティバル。開催地は、ミュージアム・クォーター、テアター・アン・デア・ウィーン劇場、ウィーン楽友協会ホール、シャウシュピールハウス、市内の市場や広場など市全体が舞台となる。世界各国のオペラや演劇を代表する演出家や指揮者、オーケストラなどが手がける最新の舞台芸術、歴史的な演出や最新プロダクション、現代作品が上演される。2011年はリュック・ボンディを総監督に、シュテファニー・カープ演劇監督、シュテファン・リスナー音楽監督のもとで、23カ国45のプロダクションが上演され、18万人を動員。日本からはポツドール、高山明が参加。
ウィーン芸術週間(Wiener Festwochen)
http://www.festwochen.at/

「クンステン・フェスティバル・デ・ザール」(2020年5月8日〜30日)が縮小もしくは中止検討中、シンガポール・アーツ・フェスティバル(2020年5月15日〜31日)中止発表
 
 新型コロナウィルス感染拡大防止のため、毎年ベルギーの首都ブリュッセルで開催されている「クンステン・フェスティバル・デ・ザール」の縮小もしくは中止が検討されている(2020年3月28日)。現在、ウェブサイト上で、世界21カ国から招聘予定の34組の作品や準備をしてきたすべてのプログラムが発表されているが、チケット発売は行われていない。韓国のJaha KooやJisun Kim、イタリアのロメオ・カステルッチ、イランのAli Sghar Dashti、中国のWang Bing、マレーシアのマーク・テ、日本の高山明ほか、多くのアーティストたちと連絡を取り合い、今すべきこと、できること、やめるべきことについて話し合いが行われ、4月上旬に最終決定が行われる。現在、検討されているプランは、開催期間の一部のみフェスティバルを開催していくつかの作品を上演すること、フェスティバルを年度内に延期すること、本年度のフェスティバルを中止すること。中止の場合は、本年度招聘予定だった18プロダクションを、25周年となる来年度に招聘し、拡大版フェスティバルとする予定。
 また、毎年2〜3月開催の香港アーツ・フェスティバルも当初一部の中止のみであったが、会期直前に最終的に全公演中止を決定(一部は年内に上演予定としている)。5月15日に開幕を予定していたシンガポール・アーツ・フェスティバルも既に中止を発表。
 日本国内でも「さいたま国際芸術祭2020」延期(会期未定)、「北アルプス国際芸術祭委」延期(会期未定)、「いちはらアート×ミックス」延期(2021年3月20日〜5月16日)など、新型コロナウィルスの影響が世界の国際芸術祭に及ぶ緊急事態となっている。
+クンステン・フェスティバル・デ・ザール http://www.kfda.be/en
+シンガポール・アーツ・フェスティバル https://www.sifa.sg/
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