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2019.5.7
Japan Topics
「ふじのくに⇄せかい演劇祭2019」が開幕(2019年4月27日〜5月6日)
 
 SPAC(静岡県舞台芸術センター)の主催により2011年から行われている国際舞台芸術フェスティバル「ふじのくに⇄せかい演劇祭」。前身の「Shizuoka 春の芸術祭」(2000年から毎年開催)から数えて20回目となる今年は、SPACによる2作品を含め、日本初演作を含む7演目をラインナップ。フランス政府から芸術文化勲章シュバリエ賞を贈られたばかりのSPAC芸術総監督・宮城聰の演出作品は、ヴィクトル・ユーゴー作『マダム・ボルジア』を日本の戦国時代に置き換えて野外劇として上演する新作と、1960年代のアングラ演劇を代表する唐十郎の戯曲に挑んだSPACのレパートリー作品『ふたりの女 平成版 ふたりの面妖があなたに絡む』(2009年初演)。
 海外招聘作品で話題となっているのが、重力や錯覚を操り、マジカルな空間と身体の演出で世界的に注目されているフランスのヌーヴォー・シルクの旗手、ヨアン・ブルジョワによる『Scala−夢幻階段』の日本初演。この作品は、昨秋、パリに新しくオープンしたLa Scalaのこけら落としとして上演されたもので、階段、椅子、テーブルがセットされた空間でエッシャーのだまし絵のような世界が展開する。スコットランドからは自らも脳性麻痺である演出家でパフォーマーのロバート・ソフトリー・ゲイルによる“インクルーシビティ(包括性)”をテーマにした底抜けに明るいミュージカル『マイ・レフトライトフット』、韓国からはイム・ヒョンテクの代表作『メディアともう一人のわたし』が初来日。イタリアからは本演劇祭3度目の登場となるピッポ・デルボーノの集大成とも言える『歓喜の詩』が日本初演される。また、スイス人演出家ミロ・ラウによるコンゴ裁判をめぐるドキュメンタリー映画も初上映される。
 連携プログラムとして、静岡市内中心部の屋外を舞台にパフォーマンスを繰り広げる「ストレンジシード静岡」(無料)も同時開催。ウォーリー木下がプログラムディレクターを務め、出演アーティストには、ままごと×康本雅子、黒田育世、範宙遊泳、ロロ、山田うん川村美紀子ら東京で活躍するアーティストが多数名を連ねている。また、期間中には、トークイベントや交流バー、茶摘み会なども予定されている。
ふじのくに⇄せかい演劇祭
http://festival-shizuoka.jp/

第63回(2019年)岸田國士戯曲賞、松原俊太郎『山山』に決定
 
 3月12日、白水社が主催する第63回岸田戯曲賞の最終選考会が行われ、受賞作は松原俊太郎『山山』に決定した。
 松原俊太郎は、京都在住の劇作家。1988年熊本県生まれ。神戸大学経済学部卒。サミュエル・ベケットとジェイムズ・ジョイスに出会い、小説を書き始める。京都を拠点に活動する地点の『ファッツァー』で演劇と出会い、戯曲を書き始める。2015年に初戯曲『みちゆき』で第15回AAF戯曲賞大賞を受賞。主な作品に戯曲『忘れる日本人』『正面に気をつけろ』、短編小説「またのために」などがある。
 本作は、KAAT神奈川芸術劇場と地点による共同制作作品として、三浦基の演出により2018年6月同劇場にて初演。労働と愛(チェーホフ)、生と死(ベケット)、あらゆる表象と紋切り型(イェリネク)、そしてアメリカの偉大な作家ハーマン・メルヴィルの小説『バートルビー』をモチーフに、かつて美しかった山と汚染物質の山の狭間で暮らす家族たちの新たな抵抗を描いた作品。
 選考委員の岡田利規は、「圧倒的に強い言葉をたたみかけ、われわれの置かれた現実を演劇的に抽象化していくパワーを持つ松原氏に衝撃を受けました。選考会で意見は割れましたが、わたしは、この人はすごいな、適わないな、と思いました。彼の言葉によって牽引される日本の演劇の来たるべき新時代を期待しています」とコメントした。
最終候補作品(作者五十音順、敬称略)
坂元裕二『またここか』(リトルモア刊)
詩森ろば『アトムが来た日』(上演台本)
瀬戸山美咲『わたし、と戦争』(上演台本)
根本宗子『愛犬ポリーの死、そして家族の話』(上演台本)
古川日出男『ローマ帝国の三島由紀夫』(『新潮』2018年10月号掲載)
松原俊太郎『山山』(『悲劇喜劇』2018年7月号掲載)
松村翔子『反復と循環に付随するぼんやりの冒険』(上演台本)
山田百次『郷愁の丘ロマントピア』(上演台本)
選考委員
岩松了、岡田利規、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、野田秀樹、平田オリザ、宮沢章夫、柳美里(五十音順)
岸田國士戯曲賞
https://www.hakusuisha.co.jp/news/n12020.html

第22回鶴屋南北戯曲賞、平田オリザの『日本文学盛衰史』に決定
 
 一般財団法人光文文化財団が主催する鶴屋南北戯曲賞は、その年に上演された日本語の新作戯曲に贈られる戯曲賞。第22回鶴屋南北戯曲賞では、7名の現役演劇記者からなる選考委員会を開催し、2018年12月19日の第一次選考会で5作品をノミネート、2019年1月16日の選考委員会で最優秀作品に、平田オリザの『日本文学盛衰史』を決定した。賞金は200万円。
 平田オリザは、劇作家・演出家。「青年団」主宰。こまばアゴラ劇場芸術総監督。1962年東京生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。1995年『東京ノート』で第39回岸田國士戯曲賞受賞。1998年『月の岬』で第5回読売演劇大賞優秀演出家賞、最優秀作品賞受賞。2002年『上野動物園再々々襲撃』(脚本・構成・演出)で第9回読売演劇大賞優秀作品賞受賞。2002年『芸術立国論』(集英社新書)で、AICT評論家賞受賞。2003年『その河をこえて、五月』(2002年日韓国民交流記念事業)で、第2回朝日舞台芸術賞グランプリ受賞。2006年モンブラン国際文化賞受賞。2011年フランス国文化省より芸術文化勲章シュヴァリエ受勲。
 本作は、2018年6月に青年団第79回公演として吉祥寺シアターにて初演。言葉と格闘した明治の文豪たちの小説や私生活を主な題材に、現代の出来事までを包摂した高橋源一郎の同名小説を大胆に戯曲化したもの。北村透谷、正岡子規、二葉亭四迷、夏目漱石の通夜あるいは葬儀の後の宴席に集まった作家仲間などが「表現」をめぐる議論を繰り広げる群像劇。
ノミネート作品(公演順)
『ぼたん雪が舞うとき』高木達
『藍ノ色、沁ミル指ニ』内藤裕子
『日本文学盛衰史』平田オリザ(高橋源一郎・原作)
『遺産』古川健
『逢いにいくの、雨だけど』横山拓也
*選考委員:
山口宏子(朝日新聞)、中村正子(時事通信)、林尚之(日刊スポーツ)、内田洋一(日本経済新聞)、内野小百美(報知新聞)、小玉祥子(毎日新聞)、山内則史(読売新聞)
鶴屋南北戯曲賞(一般財団法人光文文化財団)
https://www.kobunsha.com/company/scheherazade/gikyoku.html

「横浜ダンスコレクション2019」コンペティション受賞振付家決定
 
 若手振付家の育成とコンテンポラリーダンスの普及を目指す「横浜ダンスコレクション2019」のコンペティション。2月7月〜2月10日に本選が行われ、最終日に審査結果が発表された。
 コンペティション I(作品部門)では、下村唯による『亡命入門:夢ノ国』がグランプリにあたる審査員賞を受賞。また、コンペティション II(新人振付家部門)の最優秀新人賞は、大森瑤子の『三角コーナーに星がふる』に決定した。
 受賞者は、以下のとおり。詳細は横浜ダンスコレクションのサイトを参照。

◎コンペティション I(作品部門)
[審査員賞、ポロサス寄付基金Camping 2019賞]
 下村唯『亡命入門:夢ノ国』
[若手振付家のための在日フランス大使館賞・シビウ国際演劇祭賞]
 岡本優『マニュアル』
[奨励賞]
 乗松薫/鉄田えみ/チェ・ミョンヒョン『The Ignited Body』、チェン・イーエン『Self-hate』
[MASDANZA賞]
 カン・スビン『Cut』
*応募数:35カ国・208組/ファイナリスト6カ国・10組が20分以内の作品を上演
◎コンペティション II(新人振付家部門)
[最優秀新人賞、タッチポイント・アート・ファンデーション賞]
 大森瑤子『三角コーナーに星がふる』
[奨励賞]
 神田初音ファレル『社会の窓』、横山八枝子『silence』
[ベストダンサー賞]
 青柳万智子『うたかた』
*応募数:38組/ファイナリスト12組が10分以内の作品を上演
横浜ダンスコレクション
http://yokohama-dance-collection.jp/

第24回劇作家協会新人戯曲賞は『鎖骨に天使が眠っている』に決定
 
 日本劇作家協会が主催する第24回劇作家協会新人戯曲賞。2018年度の応募総数は238本。うち30本が1次審査を通過し、2次審査で最終候補作6本を選出。J:COMホルトホール大分を主会場に5年ぶりに開催された「日本劇作家大会2019大分大会」において1月26日に公開審査が行われ、ピンク地底人3号による『鎖骨に天使が眠っている』が新人戯曲賞に決定した。
 ピンク地底人3号は京都を拠点に活動する演劇ユニット「ピンク地底人」のリーダーを務める作・演出家。2015年から「コトリ会議」の若旦那家康と組んだ「ももちの世界」でも活動を行い、今回の受賞作は、2018年に「ももちの世界」として上演したもの。行方不明だった親友が戻ってくる話で、「失われたもの」のメタファーを描いた作品。

ピンク地底人3号
同志社大学文学部文化学科美学芸術学卒業。在学中の2006年に1号、2号、3号の三人が組んだ演劇ユニット「ピンク地底人」として活動を開始し、リーダーの3号が作・演出を担当。かつて納棺師だった経験を生かし、いかにして「生きること」と「死ぬこと」を描くかを模索している。代表作に、2010年『その指で』(第11回AAF戯曲賞最終候補作)、2017年『黒いらくだ』(第23回劇作家協会新人戯曲賞最終候補作)、2018年『わたしのヒーロー』(第6回せんだい短編戯曲賞大賞)などがある。(ももちの世界のwebsiteより)
最終候補作
『あくたもくた。』     守田慎之介(福岡県)
『へたくそな字たち』    大西弘記(神奈川県)
『鎖骨に天使が眠っている』 ピンク地底人3号(京都府)
『焔 ─ほむら』      中村ノブアキ(東京都)
『リタイアメン』      清水弥生(東京都)
『光の中で目をこらす』   小高知子(京都府)
最終選考委員
川村毅、坂手洋二、佃典彦、土田英生、永井愛、平田オリザ、マキノノゾミ
一般社団法人 日本劇作家協会
http://www.jpwa.org

第18回AAF戯曲賞の大賞は『朽ちた蔓延る』に決定
 
 AAF戯曲賞は、「戯曲とは何か?」をテーマに公益財団法人愛知県文化振興事業団が2000年に創設したもの。上演を前提に戯曲を公募し、一次審査、二次審査により最終候補5作品を選考し、公開審査で大賞を決定する。今年度は、109の応募作品の中から2019年1月6日の公開審査会により、大賞に山内晶『朽ちた蔓延る(くちたはびこる)』、特別賞に現役高校生の渡辺鈴(南山高校女子部演劇部)『by us』が選ばれた。  山内晶は青年団演出部所属で、同じく演出部に所属する蜂巣もも演出により2018年5月に東京で上演された『インクルージョン』の長編版。「架空の遺跡」を舞台に、 “建造物の諸行無常”“長い目で見た文化の隆盛”“残留思念”をテーマに執筆された作品。受賞作およびノミネート作品は、愛知県芸術劇場のウェブサイトで公開されている。
山内晶(やまのうち・あき)
日本大学芸術学部演劇学科卒業。「キリグス」主宰(旧団体名「AnK」)、「歌舞伎女子大学」メンバー、「青年団」演出部所属。キリグスと歌舞伎女子大学の両団体の全作品の脚本・演出担当。ロマンかロマンスかロマンチックがある舞台芸術を目指して、その時々に感銘を受けた文化(伝承、浄瑠璃、クラブミュージック、漫画etc..)を編み込んだ独特の世界を作り出す。2014年度佐藤佐吉賞最優秀演出賞(作品名『ヘナレイデー』)、第17回AAF戯曲賞特別賞(作品名:『白痴をわらうか』)受賞。
ノミネート作品
『朽ちた蔓延る』   山内晶
『すごい機械』    我妻直弥
『by us』      渡辺鈴
『ヤクタタズ!』   フルカワトシマサ
『ワッツィ 人民は敵』 佐々木治己
審査員
篠田千明(演出家、作家、イベンター)、鳴海康平(「第七劇場」代表、演出家)、羊屋白玉(演出家、劇作家、俳優、「指輪ホテル」芸術監督)、三浦基(「地点」代表、演出家)、やなぎみわ(アーティスト)
第18回AAF戯曲賞
https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/event/archive/detail2018/18_aaf_bosyu/
Presenter  Topics
ベルリンで「テアター・トレッフェン」開幕(2018年5月3日〜20日)
 
 毎年、ドイツ語圏で上演されたもっとも「bemerkenswerten(顕著)」な作品10作が上演されるフェスティバル。本年度は、65都市で上演された418作品から、まず39作品が審査員により選出され、そこからの議論で最優秀10作品が選出された。
 「物語演劇」を好む傾向にある本フェスティバルでは、まず「西洋古典」と呼んでも良い、原作を翻案したものが多く含まれる。例えばベルリン・ドイツ座にて若手女性演出家アンナ・ベルグマンが初演したイングマール・ベルイマン原作『ペルソナ』、あるいは中堅演出家ソーステン・レンシングによる小説家デヴィド=フォスター・ウォーレスの1000ページの長編小説『Infinite Jest』の翻案上演、また世界的注目を浴びるオーストラリア出身の演出家 サイモン・ストーンによる『ホテル・ストリンドベリ』(『幽霊ソナタ』『ペリカン』『ダマスカスへ』の合作)などである。
 全くのオリジナル作品は少なく、 演劇集団She She PopがHAU劇場で初演した『Oratorium (Oratorio)』、また3人の80年代生まれの演出家トム・ルッツによる『Girl From the Fog Machine Factory』、クリストファー・ルーピングによる『Dionysos Stadt』、そして2016年にシアター・ホイテにより最優秀若手演出家賞を授与された87年ベルリン生まれのエルサン・モンタグによる『ザ・インターネット』が招聘されている。

[フェスティバル概要]
 1963年から毎年5月ベルリンで行われる演劇ミーティング。フリーの演劇評論家からなる審査員団により、ドイツ、オーストリア、スイス各地のドイツ語圏内の舞台で毎年の演劇シーズン内に公演される、約2,000の作品から最高10本までの「優秀」作品が選ばれ、招聘され、若手の登竜門となっている。期間中作品上演と並行して、テアタートレッフェンの主催者であるベルリン・フェストシュピーレ、ミュンヘンのゲーテ・インスティテュート本部、スイスの文化機関プロ・ヘルヴェツィアが協力して、2週間にわたるワークショップ「国際フォーラム」を開催。ドイツ語圏のみならず、世界各国から35歳以下の演劇人が参加。台本の紹介やディスカッションなど若手演劇人のプラットフォームとして、台本の紹介や、二週間にわたるワークショも機能している。ディレクターは2003年からIris Laufenbergが務めている。
テアター・トレッフェン(Theatertreffen)
https://www.berlinerfestspiele.de/de/theatertreffen/start.html

オーストリア屈指の複合芸術祭「ウィーン芸術週間」開幕(2019年5月10日〜6月16日)
 
 欧州屈指の歴史と規模を誇る国際芸術祭でありながら、過去数年間、幾人ものプログラマーや芸術監督の退任により、プログラミングに安定感を欠いていたウィーン芸術週間。本年度から6年間は、長年にわたりクンステンフェスティバル・デザールを牽引したクリストフ・スラフマイルダー氏が総芸術監督に就任。当初は2020年度からの予定であったため、フェスティバル史上類を見ない速さで、40人以上のアーティストを本年度のプログラミングに並べたことで話題を呼んでいる。
 スラフマイルダーは、プログラムに一貫したテーマ性は設けないという。ただ彼の信念として、オーストリアをはじめ二極化する社会に対する「解毒剤」として、自己完結的な盲信や、二元論的ポピュリズムを打ち砕く作品群を呼び集めたと語る。そして短見的なビジョンではあく、長期的な視野でウィーンという街を国際的に開かれた都市として位置づけていきたいと語る。
 いまだ発表されていないオープニング演目は、ウィーン22区のドナウシュタット地区で、近隣住人を巻き込みおこなわれる、この地域のために特別にクリエイションされた参加型プロジェクトになるという。またスラフマイルダーの潤沢なネットワークを誇示するように、アンジェリカ・リデル、クリスチャン・ルパ、ミロ・ラウ、マーカス・オルン、マリアノ・ペンソッティ、アピチャッポン・ウィーラセタクル、アンヌ=テレサ・ドゥ・ケースマイケル、マルセロ・エヴリン、フランソワ・シャイニョーなど国際演劇市場を牽引する作家たちの名前が連ねられている。
 日本からは岡田利規が招聘されており、『三月の5日間 リ・クリエーション版』を上演する。

[フェスティバル概要]
1951年から毎年5月〜6月にかけて開催されるオーストリア最大級の国際フェスティバル。開催地は、ミュージアム・クォーター、テアター・アン・デア・ウィーン劇場、ウィーン楽友協会ホール、シャウシュピールハウス、市内の市場や広場など市全体が舞台となる。世界各国のオペラや演劇を代表する演出家や指揮者、オーケストラなどが手がける最新の舞台芸術、歴史的な演出や最新プロダクション、現代作品が上演される。2011年はリュック・ボンディを総監督に、シュテファニー・カープ演劇監督、シュテファン・リスナー音楽監督のもとで、23カ国45のプロダクションが上演され、18万人を動員。日本からはポツドール、高山明が参加。
ウィーン芸術週間(Wiener Festwochen)
http://www.festwochen.at/

南オーストラリア最大の国際芸術祭アデレード・フェスティバル開幕(2019年3月1日〜17日)
 
 1960年設立の大型総合芸術祭。演劇や音楽、ダンス、文学、美術、児童作品など、2週間半にわたり多岐にわたるアート作品が紹介される。当初はビエンナーレ形式を採用していたが、2012年以後、毎年開催。昨年度まで現芸術監督を務めたのはロンドンのオルタナティブ・ミュージック・フェスティバルMeltdownの創設者として知られるデヴィッド・セフトン。2017年度からは、シドニーのベルボア劇場で共同芸術監督を務めたニール・アームフィールド&レイチェル・ヒーリーが同職に就任した。
 2019年度の演劇部門に招聘される大型作品には、日本でも昨年上演されたウィリアム・ケントリッジ演出『魔笛』、世界中で賛否両論を呼んでいるミロ・ラウ演出構成によるリエージュの同性愛者殺害事件を「再現」する『La Reprise』、イラン人演出家ナザニン・シャミザデが、難民キャンプに抑留されて6年目のクルド人ジャーナリストとの直接対話をもとに執筆したヴァーバティム・シアター『Manus』などが挙げられる。
 ダンス部門では、昨年国際的にもっとも名誉ある舞踊賞のひとつであるブノワ賞を振付家として受賞したネザーランド・ダンス・シアター所属の振付家ヨハン・インガーによる『カルメン』が注目を集めているほか、ホフェシュ・シェクターによる近年の成功作『グランド・フィナーレ』が上演される。

[概要]
 1960年、南オーストラリア国立劇場運動に関わり、アデレードにアーツ・フェスティバル開催の潜在能力があると確信したジャーナリスト、ロイド・デュマがアデレード大学の音楽教授ジョン・ビショップとともに、各方面の有力者たちの協力を得て、半月間に105公演(大人向け74公演、子ども向け31公演)という規模でスタート。シドニー、メルボルンと並ぶオーストラリア有数のインターナショナル・フェスティバルとして、偶数年に開催されている。日本のカンパニーでは1994年に第三エロチカ(『マクベスという名の男』)、2000年に維新派(『水街』)などが招聘されている。
アデレード・フェスティバル(Adelaide Festival)
https://www.adelaidefestival.com.au/

バンクーバーでPuSH国際舞台芸術フェスティバル開幕(2019年1月17日〜2月3日)
 
 欧州の国際演劇フェスティバルをモデルとし、欧州、アジア、米国の現代舞台芸術作家たちを招聘し、バンクーバー拠点の作家たちとの対話を促し、地元の演劇シーンを活性化することを目的とする。特に音楽、映像、演劇などの分野を問わずジャンル越境的で、今までにない形式のパフォーミング・アーツの紹介に力点を置く。2019年度はフェスティバルの15周年を記念するシーズンとなる。
 まず今年はアントワープ拠点のアートコレクティブBERLINがジャーナリストのキャシー・ブリッソンとチェルノブイリの立入禁止区域で老夫婦と5年間共に暮らし、親密な絆を彼らと築きながら撮影しつづけたドキュメンタリー・インスタレーション『Zvizdal(Chernobyl - So Far So Close)』が話題を呼んでいる。またベルトラン・レスカとナジ・ヴートゥサスによるシリアの町名を題名に冠した二人芝居『Palmyra』では、ひとりの男は皿を持ち、もうひとりは持たない、という状況から喜劇的で暴力的でもあるアルチュール・アダモフのような不条理劇が浮かびあがる。
 日本からは梅田哲也、ASUNA、Marginal Consortという3組のミュージシャン/アーティストが登場。演奏と上演のあいまで実験的な挑戦をつづけるパフォーマンスを展開する。

[概要]
 モントリオール、トロントが優勢のカナダ舞台芸術界において、近年注目されているバンクーバーのフェスティバル。バンクーバー都市部の複数の会場で開催される。演劇、ダンス、音楽をカバーし、「最高のコンテンポラリー・パフォーマンス」を紹介することを目指して国内作品を厳選。その他外国からも小規模ながら野心的なコンテンポラリー・パフォーミング・アーツを紹介しており、2009年には2万3,000人以上の観客が集まるなど成功を収めている。日本からは2009年にチェルフィッチュが参加。その他プレゼンター向けのミーティングも行われるなど、内外を結ぶネットワーク機能の充実を図っている2019年度には、恩田晃のキュレーションにより、梅田哲也、Marginal Consort、ASUNAなどのサウンドアーティストが日本から参加。
PuSh国際舞台芸術祭(PuSh International Performing Arts Festival)
https://pushfestival.ca/
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